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数研出版の教科書が重たいと言われる件とその他 [教科(数学)指導者として]

数研出版の一番グレードが高い教科書は重い。重いとは聞いていたが、やってみるとかなり重い。

もちろん、それは重量のことではない。内容が重いのである。一部進学校では、重いので速度を出すために軽めのものを使っているらしい。

でも、それを使えば傍用問題集とのギャップが大きくなる。結局、そのどっちかということになる。


そもそも、この教科書はそれほど重いのだろうか?
重たいとは何なのだ?
ひとことで言えば、概念がきっちり書いているというか、考え方をきちんと盛り込めば、こうなると言うことなのではないか?
したがって、きっちりと学びたい生徒に対してはこの教科書ということになるのではなかろうか?
教師がそういう学びを望めば、それを採用するが、生徒はそこまでついていけない・・・結果速度が上がらないということになるのかもしれないな。


ある先生が、自分の高校時代の数学の授業について教えてくださった。究極の展開は、教科書を見て演習問題に取り組み、演習問題以外やらないという展開かな。つまり、「教科書を自学自習用の本と見る」という感覚で授業を受けていたという話であった。

かなりの進学校になれば、それも可能かもしれない・・・でも、今の時代には、それはかなりの「鬼」と映るだろうな。

でも、こういった授業スタイルは、20年くらい前まではけっこうな学校がしていたような気がする。

傍用問題集の解答は配布されない、クラスの生徒で話し合って、問題の攻め方の相談をする。

先生方は、休み時間に解答を書かせて、授業中に解説、それを生徒が参考にして技を盗む・・・そういう世界があったが、今となっては、多様な価値観、そんな授業が成り立つのは日本全国で何パーセントの学校がそうなのかな。丁寧な解説がないと参考書は売れないし、「じっくり考える力を身につけさせる」よりかは、「効率よく」というところを重要視するところが増えた。

いいんだか、悪いんだか・・・ただ、日本の価値観の一つがここにも現れているのは確かだ。


ちなみに、新しいカリキュラムでは、進学校で速度を出せるような教科書のラインナップが出るという噂だ。なんだか、物事をコンパクトにまとめて、「覚えておけ」といい、どんどん進んで本質が見えないままできる気になったような勉強をするようなある種の「評論家」を育てている気がしてならないのだが、どうなのかな。もちろんこれは教科書会社がどうこうと言うことではなく、その人気を支えさせるような発言をし、人気をあおるようなシステムを作り上げている人たちに対して感じるところだ。私も大いに反省しなければならない。
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留数

 効率の良さを求めて受験に特化した授業を展開,というのが公立でもよく見られるようになったのは,数年前の教科書未履修問題で明らかになったと言えますが,その背景の1つとして,そうでもしないと間に合わないということがあるように思います。中学までの学習内容が大幅に減っているのに,1つの区切りである高校修了段階での到達点はほとんど変わっていませんからね。次期指導要領でも数学はそれほど中学までの内容が増えているわけではありません(不等式や図形の標準的内容は今度も先送りです)し,むしろ高校でやる内容も整数などが増えますから。
 教科書も発展的な内容を載せることがうるさくなくなっていますから,大きな差がないのでは,とは思いますが,決定的に大きいのは「教科書に載っているならば説明しなければ」というような部分はあるでしょう。上のグレードのものや検定外教科書のものはいろいろ載っているようでお得なようで,逆に指導者から見て「これは必要か?」というのも多い。もちろん,そんなところはスルーするというので話は済むが,書いてあるから気になる生徒が多いのもまた現実です。
 たかが教科書,されど教科書。悩ましいものですね。
by 留数 (2011-04-11 06:14) 

bashy0322

載せないと文部科学省の検定に通らないというのも教科書会社の嘆きとしてあるようですね。

他の国のように、もうちょっと自由度を増した方がいいようにも思いますが、そうなると、社会科などで自国にとって不都合がある内容を通さなければならなくなるので都合が悪くなるのでしょうか・・・。
by bashy0322 (2011-04-12 07:18) 

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