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大学入試センター試験の数学ⅡBの問題量がすさまじい [教科(数学)指導者として]

大学入試センター試験の数学ⅡBの問題量がすさまじいことは、受験生であれば、誰でも知っていることに違いない。

指導者と話し合いをしても、受験という精神状態で、高得点をすることがかなり難しいのではないか、という意見が多い。

指導者はのんびり解けばいいのかもしれないが、人生の方向性がかかる試験では酷な問題量である・・・という意見があちこちから出てきている中、大学入試センターから頼まれている方々は、出題するメンバーは変わっているのだろうが、そのスタンスを変えることなく、ここ数年推移している。解き応えがあるという言い方もできるかもしれないが、それにしても、少しやりすぎではないだろうか。教科書レベルを明らかに超えていると見られるものもある。もっとも、教科書がセンター試験の問題を受けて、改訂時にに内容を変更してきているという現実もあるので、そうなれば「教科書レベル」ということになるのかもしれないが。

確かに、大学入試センター試験が始まってから20年以上経っているが、その中で解法パターンが予備校などに研究し尽くされている感じがある。そのことに対応するために、新しい問題を作るということは非常に大切なことである。年々解法のパターンが難しくなっているのは、「おいしいやり方ができないようにしたい」ということなのかもしれない。

ただ、それを差し引いても、「この試験はいったい何のためにやっているのだろうか」と思わずにはいられない問題もある。思考力を問うということよりも、情報処理力を問うという要素が強いのではないか。条件反射的な判断力で突破できるかどうか。そのときの判断が間違えていれば、時間内に問題を解くことはできない。そこの判断力を問いたいのか、与えられた事柄を速くこなすことができる、ということが世の中に求められているもっとも大事な事柄だということなのだろうか。

試験を差がつくものにしたいのであれば、もう少し平均点が上に分布するようにした方がいいと思う。かつて言われていた「数学の満点率が高い」ということからすると、上位の差をつけたいという意図があるのだとは思う。それにしても、時間が足りないというのはいかがなものなのだろうか?数列・ベクトルの問題はそれぞれ12分で解けるのだろうか?うまく差をつけるほう方がないのかといわれると、まだできることはあるように思う。穴埋め問題の限界は、解答速度の速さで差をつけることで補うということなのだろうか?

「予備校が作った問題は、センター試験よりもうまく分布している」と聞く。分布する試験をうまく作るためにも、難易度の調整を上手にしてもらいたい、と切に願う。とりあえず平均点は60点程度に設定すべきである。

一度試すということができないだけに、調整は難しいことだろうし、新しい取り組みをして評価されたいという思いもあると思う。学力低下の中でセンター試験が発するメッセージはとてつもなく大きい。それだけに、さじ加減をよくよく吟味してもらえることに期待したい。・・・といってみたところで、もう今年度の問題はできているのだろうが・・・来年度はぜひ!?
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shira

 その点、センターの英語は質・量ともに割と妥当な問題が毎年出ていますね。特に質については本当によく考えられていると思います。あれなら学校の勉強をきちんとやればいいと自信を持って生徒に言えます。
by shira (2012-12-19 22:39) 

留数

 よくいえば処理能力が求められる,悪くいえばゲーム感覚が求められる,ということかな。数学は解く時間も厳しいばかりでなく,解いた結果をマークする量もやはり多いですから,それも考えると,ある程度上位でも「捨てる勇気」が必要というのは,どうしたものですかね。

 10年ぐらい前から,数学,とくに2Bは難しくなった感じがします。それまでは,資格試験的とまではいかずともそれなりによかったとは思うのですが。そもそも,センター試験の目的とはなんなのでしょうかね。共通一次を始めた頃と,目的が変わってきたから難しいのが既定路線になったのだろうか?
by 留数 (2012-12-20 08:55) 

bashy0322

>shiraさん
いつもありがとうございます。英語のばらつきの話は確かにあまりききませんね・・・。なお、私の住んでいる某都道府県は、英語の指導力があまりないのかどうかわかりませんが、なかなか成績が伸びてきません・・・。よその都道府県から来た先生がよく言っています。

>留数さん
数学2Bが難しくなったのは、本文でも書きましたが、マークのノウハウが開発されてきたこととも理由のひとつであるように思います。そのノウハウにかからないようにした結果がこのような結果なのかもしれません。

最近の指導ですが、「最後の問題は1回スルーしろ」というのが私の指導になりつつあります。そのことによって、時間はある程度確保されますし、字をある程度きれいに書かないといけなくなりますし、100点取らねばならないプレッシャーから解放されて、本来の力が出るのかわかりませんが、崩れにくくなるように思います。
by bashy0322 (2012-12-21 19:30) 

Ladybird

 センター試験の「理科」も,問題の量が多かったように思います.早く答えることに何か意義があるのでしょうか.むしろ理科の場合は,たとえ時間がかかっても,きっちりと論理をたどって正解に達するというような能力が,大学に入ってから以後は求められると思うのですが.入試によって何の能力を測定しているのか,生徒を選別することが事故目的になってしまっているのでないか,というように疑問を感じます.
by Ladybird (2013-01-28 21:25) 

Ladybird

(誤) 事故目的
(正) 自己目的

 失礼しました.
by Ladybird (2013-01-28 21:28) 

bashy0322

>Ladybirdさん
ありがとうございます。大学に入ってからの力をどのように問うかは、どこの科目でも難しいものですね。数学もその通りですが、与えられた情況の中でどのように力を蚊張っていくのかという意味において、センター試験というのは、それなりの機能を果たしてはいるのかな、と思うこともあります。

と同時に、もうちょっと別のじっくり考えるが他の問題もきちんと問えればいいのでしょうが、世の中がそこまで実力を判定するだけの余裕がない、ということなのかもしれません。もうちょっと丁寧にという気持ちもありますが・・・。
by bashy0322 (2013-01-30 20:06) 

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