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教科書傍用問題集の解答のある・なし [教科(数学)指導者として]

私が高校生の時には、高校では数研出版の4STEPを使用していた。

当時(20年以上前)の4STEPは解答がなかった。少なくとも生徒用には。一度、先生方から大バーゲン(非公式)のお知らせがあり、格安で譲ってもらった中の1冊に、生徒もあることすら知らなかった4STEPの解答があった。先生方が指導するために指導用の4STEPの解答があったには驚いた。

そんなことは知らなかったので、4STEPの巻末にある「2」「0」などの無味乾燥とした答えとにらめっこ。私たちにとってはそれがすべてであったが、過程はどうなっているのか教えてくれよ!と思ったが、何せ、結果しかない。

その状況下で、我々はどうやって数学を学んだのか?

まずは、学級で徒党を組んだのである。とりあえずできるところまでは自分でやる。自分でできなかったら、青チャートで調べる。それでもわからなかったら、誰かに頭を下げる。こうして、勉強のできる・できないのヒエラルキーができあがっていったのである。そのコミュニティーの中では、なぜそうなったのかという議論が白熱した。そして、その勉強が自分のものになっていったのであった。


そして、数十年後、同じようにクラスの生徒に4STEPをさせている。歴史は繰り返すといいたいところだが、解答は渡してある。それだけでも、生徒にとっては考えさせるための素地がなくなってしまっているのかもしれない。
生徒用の解答が販売されているので、それを見れば、わかってもらいたいといいたいところだが、残念ながら生徒たちはなかなかわかってはくれない。行間を読めないのか、解答の真意を捉えきれないのか、なんなのかわからないが、それはそれで苦労している。

ちなみに、数年前の私の恩師は、4STEPの解答を難しいものについては基本的に配布してくれた。

今度は、私が4STEPの解答を生徒に渡す番である。ということで、やってみると、けっこう大変だとわかった。私の解答は、あえて、4STEP的な王道の解答を少し外して亜流の解答を見せることにしている。本流を理解するためには、せめて行間を読んでもらいたいと願う。全国の高校の話を聞くと、意外と、4STEPの解答を渡されていない学校が未だにあるようだ。かつて、自分が指導されていたときのことを考えると、渡したくない気持ちもわかる。ただ、正直、このインターネットの時代、生徒が入手するのは簡単だ。渡さないことにさほどの意味はないのかもしれない。

ただ、学ぶ側は、手に入れることによって、指導者が狙っている「自分で考えることを学ぶ」メリットは失われてしまうだろう。自分で考えて、問題を解く、だめなら調べ、それでもだめなら誰かに聞く。その勉強の大原則は解答がないところで培われたものなのだと思うのだ。

ただ、この指導には、かなり空間の力が必要だ。空間の力とは、問題を何が何でも解いてやるという雰囲気のことである。それがないところで、みんなで徒党を組んで、というのは非常に難しいに違いない。

検索か何かをしてこのサイトにたどり着いた諸君が、4STEPの解答を購入したいとするならば、購入すれば良い。ただ、そのことによってのデメリットもあることはいっておきたい。
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コメント 2

shira

 4Stepかあ。苦労したよなあ・・・。
 解答がなければ友達と協力して何とかするというたくましい生徒は今でもいることはいますけど、まあ本当に稀ですね。
by shira (2012-08-20 21:02) 

bashy0322

たくましい生徒は私のところでもまれですね。

現在も、4STEPの採用率はいまだにかなり高いものと想像されます。こういうのも歴史は繰り返す、なのでしょうね。
by bashy0322 (2012-08-22 06:48) 

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